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着物アドバイザー坪井先生の「キモノのツボ」(11) 着物12ヶ月の着こなし【11月編】 / denmira blog

こんにちは!
着物アドバイザー坪井梨絵子です。

関東もいよいよ紅葉の時期という感じですね。
先日旅行した会津地方は、
10月半ばでもうすっかり山が色づいていました。

 

さて、11月は空気が「涼しい」→「寒い」に変わりますので、
なんとなく温かみのある色を選びたくなります。

赤・橙・山吹色など。それにもいいですね。

同じピンクにしても青味がかった爽やかなピンクよりは、
オレンジ寄りのサーモンピンクや少しグレーの混じった柔らかい色味
がこの季節に合うのではないでしょうか。

 

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画像は、落ち着いた色の縞柄の紬に山茶花(さざんか)の帯です。

着物の縞には赤・黄・緑、と何色か使われているのですが、
縦糸が黒に近い茶の一色のみなので色同士がよくなじんで
縞柄特有の強い主張もなく、この時期によく着たくなります。

帯には晩秋の花(山茶花)が描かれていますが、
生地が塩瀬(単衣の時期にもよく合わせる)なのでさらりとしています。

このような濃色の紬は暗い印象になりがちですが、
塩瀬のサラサラ感が良い仕事をしてくれて、重くなりすぎないのです。
(逆に天気が悪い日なんかは同じ紬の着物でも、厚地の紬帯を
持ってきて、より暖かさを出したくなりますけどね。)

着物と帯の色がかなり違いますので、
帯揚げは着物と帯の両方にある色味を取って、茶系にしています。

そして帯締めは紫にしてみました。

縁(ふち)の部分に辛子色が入っているので浮かないのですね。
多色使いの帯締めは難しいように見えて、
案外使い勝手が良いのです。

 

ところでこの季節、
紅葉(こうよう)をイメージしてコーディネートする
ことも多いのですが、私の場合、
同じ紅葉でも出かける先によってメインの色を変える
ことがあります。

 

まず一つは、イメージ通り紅葉の色の着物を選ぶパターン。
街(都市部)へ出かけるとき、つまり周りに紅葉した木々が少ない場合
は、着物に秋色を使います。
ビルの色というと黒・グレー・ベージュ・白が多いので、
これがまた綺麗に映えるのですよ。

逆に全く別の色を選ぶパターンもあります。

神社仏閣や庭園など自然豊かな場所に出かけるとき。
周りが紅葉しているので、この場合は紅葉に合う色を選びます。

抹茶色や小豆色に紺色、クリーム色なんかもいいですね。
黒もかっこいいかも。
そして帯揚げや小物にちょいと秋色を差します。

着物が紅葉色だと
風景に溶け込みすぎて目立たなくなってしまうのですよね。

いえ、別に目立つ必要はないのですが、
保護色のようになるのは避けたいな~と思うわけです。

マニアックなことをだいぶ書き連ねましたが、
これはあくまで
「紅葉がテーマの場合の個人的なこだわり」の話でして、
別に決まりでもなんでもないですからね、念のため。

でも季節やシチュエーションによって
こういった「自分ルール」を作ると、
これはこれで着物選びが楽しくなるのです。

 

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坪井 梨絵子(ツボイ リエコ)
着物アドバイザー
イラストレーター
日本伝統文化コーディネーター
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でんみらブログ(2015.11.18)
http://blog.denmira.jp/?eid=345

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