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わんちゃんにまつわる民俗学 Vol.1 江戸の縁起物玩具「籠かぶり犬」

■江戸っ子の元祖ゆるキャラ
江戸の郷土玩具として有名な犬張子(いぬはりこ)。これに籠をかぶせた「籠かぶり犬」をご存知ですか?知らない方は「けっ。おめぇ、江戸っ子じゃねぇな」と、下町の強面なおじさんに言われてしまいそうです。ちなみに関西では江戸の犬張子を指して東犬(アズマイヌ)といい、ご存じない方が多いようです

■そもそも犬張子って何ですか
さて、犬張子は宮中の産室に飾られていた犬筥(いぬばこ)がルーツと言われており、カタチを変えて江戸時代後期に縁起物の郷土玩具として発達しました。水天宮(日本橋蛎殻町)の犬の像や腹帯(御子守帯)に見られるよう、わんちゃんは安産の象徴です。たくさんの子犬を生み、出産も軽いと思われていたことから安産や子どもの健康を祈願する玩具として親しまれてきました。ちなみにでんでん太鼓を背負っている犬張子は鈴のかわりに豆が使われ、「まめまめしく」育つようにという意味が込められているそうです。

■目籠をかぶっているのは隠れているの?
そんな犬張子に魔除けの霊力を持つといわれる目籠を被せることで、子どもにとりつこうとする悪霊や邪霊を避けると言われています。また、籠に使う竹+犬(犬→天)=笑という字になり、いつもにこにこと笑顔を絶やさず、すくすくと成長するようにという願いが込められています。また、籠は水をよく通すことから、洟の通りをよくする(風邪をひかない)という意味も。さらにつぼめた傘を背負うタイプは瘡を小さくする=疱瘡にかからないという意味もありました。いずれにせよ、江戸っ子の洒落好きが忍ばれます。

浅草の鳥越神社(651年創建)では竹細工の籠(かご)を被った犬張子を授けています。動物と植物を重ねることで、慶事や祝いが更に重なるようにとの願いが込められているとのこと。こうしてみると元祖ゆるキャラの「籠かぶり犬」ですが、由来を知ればありがたく感じてしまうものですね。

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http://news.mynavi.jp/news/2014/05/09/442/
参照元記事 / マイナビニュース

鳥越神社で授けている「籠かぶり犬」

鳥越神社で授けている「籠かぶり犬」

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