若狭めのう細工や越前漆器、越前焼といった福井県にある7分野の伝統工芸品の若手職人がグループ「7人の侍」を結成、それぞれの枠を超えた商品開発に挑んでいる。合同でショーや展示会を開催、反響も広がりつつある。
発起人は県内の企業や商品の宣伝を手掛ける熊本雄馬さん(36)。福井の工芸品は日本有数の技術を誇るが、安価な工業製品との厳しい競争や若者離れなどの課題を抱える。熊本さんは「地元が誇る技術をアピールするには多いほうが効果的」と各分野に声を掛けた。
集まったのは越前打刃物や越前和紙、越前たんす、若狭塗など7分野の男性職人。
11月初めには、福井市内の百貨店でファッションショーを開催。打刃物の技術で加工した猫の耳が付いた髪留めや和紙のドレスなど、ユニークな作品を数多く発表した。
同県越前市の和紙職人柳瀬靖博さん(47)は、和紙の透明感を表現しようと仕立てたドレスを出品し、会場から歓声が上がった。「デザインは華やかだが、和紙の質感で落ち着いた感じがする」と女性に好評だった。
柳瀬さんはこれまで和菓子屋向けの掛け紙やしおり向けの紙を手掛けてきた。「一手間掛けて和紙の良さが伝わる製品を作りたい」。別の分野の職人からヒントをもらったり人脈を広げたりしたいとグループに参加した。今は知り合ったデザイナーと新商品開発を模索している。
同じショーで、同県越前市の越前たんす職人山口祐弘さん(38)は、持ち運べる小型のたんすを披露した。「誰も作っていない作品を出せた」と胸を張る。
底面に車輪が付いており、木製ハンドルを伸ばすと「キャリーバッグ」に早変わりする。「飛行機内に持ち込むことができるサイズにできないか」と注文があったほか、これまで見向きもされなかった女子高生から「かわいい」と声を掛けられ、手応えを感じている。
山口さんはグループの意義を「若者同士で気安くやりとりできる。業界の決まりごとにとらわれずノウハウを学ぶチャンス」と話す。
メンバーには新商品の依頼や、ブランド設立の提案が来始めた。「順調な滑り出し」(熊本さん)という。来春、首都圏でもショーを開く。
▽7人の侍・福井7つの国指定の伝統工芸 Facebookページ
http://www.sankei.com/west/news/141120/wst1411200014-n1.html
参照元記事 / 産経WEST