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古民家が台湾でよみがえる。岩手県西和賀町の古民家移築とは

古民家に手をいれて暮らすのが今やひとつのブームになっている。住めないようなあばら家の状態から少しずつ手をかけて修繕していくのが楽しみなのだという。雑誌やネットなどさまざまなところで、古民家の再生、活用についての記事を見かけることも少なくない。

 

さて、岩手県西和賀町という町がある。この町の「清吉稲荷」と呼ばれる古民家が、今年、台湾に移築されることになったという。清吉稲荷とはどんな建物なのか? 西和賀町生涯学習課の高橋さんにお話を伺った。

 
「清吉稲荷は(合併によって西和賀町になった)旧沢内村の役場職員の高橋清吉さんの住居だった民家です。明治時代に建てられた日本の典型的な古民家ということで、体験学習などの場として活用されてきましたが、近年、老朽化、雪害が目立つようになったため、解体されることになっていました」

 
ところで、なぜ台湾に移築することになったのか?

 
「台湾の財団法人『大河文化基金会』との出会いがきっかけです。かねてから、日本の古民家の台湾移築構想を計画していた『大河文化基金会』に、西和賀町の観光振興アドバイザーである畑山茂氏が仲介したところ関心を引くこととなり、基金会の邱明民理事長による下見、町長との会談をへて移築合意書を交わすことになりました」

 
『大河文化基金会』は、1995年の阪神淡路大震災と1999年の台湾大地震の際に日本とのボランティア交流があり、それをきっかけに福井県の古民家を記念館として台湾に移築復元した実績があるそうだ。

 
「邱理事長は、清吉稲荷の堅牢さや重厚さといった建物自体の魅力とともに、清吉稲荷の由来や歴史にも深い共感と関心を示しており、このプロジェクトを単なる古民家移築にとどめることなく、清吉稲荷や西和賀町が保有している文化や歴史、地域性や背景なども包含して台湾に持ち帰りたいと計画しております。清吉稲荷の移築を通して、西和賀町との文化的・精神的交流に発展させていこうということだと思います」

 
既に西和賀町での解体は終了し、台湾での移築完成は2015年末~2016年春ごろを予定しているとのこと。移築後は、「生命尊重」をテーマにした記念館として西和賀町と岩手県のアンテナショップが設けられ、観光情報の発信の場として、また展示やワークショップなど台湾と日本の友好促進のための場として活用されるそうだ。これも古民家再生のひとつのあり方、新たな命をふきこまれた幸せな姿と言えるだろう。

 
●取材協力
西和賀町生涯学習課

 
http://suumo.jp/journal/2014/12/18/74835/?vos=nsuusbsp20111206001
参照元記事 / suumoジャーナル

画像提供:西和賀町生涯学習課 / suumoジャーナル

画像提供:西和賀町生涯学習課 / suumoジャーナル

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