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「淡路人形座」が発足50年 伝統守り新たな試み模索 / 兵庫

500年の歴史を誇る淡路人形浄瑠璃。伝統を引き継ぐ唯一のプロ団体「淡路人形座」(南あわじ市)が発足50周年を迎えた。伝統を守るだけでなく、“生きた芸能”としていかに多くの人に楽しんでもらうか-。座員たちの取り組みを追った。

2014年9月。同市福良の劇場は礼服や留め袖姿の人たちが客席を埋め、華やかな雰囲気に包まれた。

「明るく健やかな家庭を築けるように、もう一献いたそうか」。太夫の語りに合わせ、戎(えびす)さまの人形が酒の杯を何度も干す。前後不覚になりながらも舞を披露すると、客席から笑いと拍手が起きた。

これは、劇場で初めて開かれた結婚式のプログラム。淡路人形浄瑠璃は大漁や家内安全を祈る神事に起源があり、地元のホテルと共同で企画した。座員は「昔は正月に戎舞が家々を回った。郷土芸能として人々の生活の一部であり続けたい」と強調する。

人形浄瑠璃は物語を語る「太夫」、演じる「人形」、場面を音で演出する「三味線」からなる。江戸時代に庶民の娯楽として絶大な人気を誇った。淡路島では興行団体「座」が数多く結成されて全国巡業し、江戸中期は40座を超えた。だが映画やテレビの登場で客足が減り、座も相次ぎ廃業した。

そんな中、1964年、財団法人淡路人形芸術協会が復興を懸け、現在の南あわじ市に「淡路人形座」を設立。観潮客の集まる福良港や大鳴門橋の関連施設に移り、現在は再び福良港に戻った。2014年は劇場に6万2千人を呼び込んだ。

これまでの海外公演先は20カ国以上。1998年には鶴澤友路さん(101)が義太夫節三味線の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。

伝統を守るために重要なのが、担い手の「育成システム」だ。同市内には子ども会や中高校の部活など、年代別に継承団体がある。面白さに目覚め、人形座の座員を志す若者も少なくない。
同時に力を入れるのは、途絶えていた人気演目の上演。福良港に戻った2012年以降、その数は10近い。「仮名手本忠臣蔵 殿中刃傷の段」など兵庫県ゆかりの演目もある。

人形浄瑠璃史を研究する大阪市立大学大学院文学研究科の久堀裕朗准教授は「大坂の劇場で上演した文楽と違い、淡路は全国各地を巡業して発達した。人形座は淡路独特の演目や演出の復活に力を入れており、大きな意義がある」と評価する。

淡路人形座TEL0799・52・0260
http://www.kobe-np.co.jp/news/bunka/201501/0007673078.shtml
参照元記事 / 神戸新聞NEXT

劇場で開かれた結婚式で、末永い幸せを祈って披露された戎舞=南あわじ市福良 / 神戸新聞NEXT

劇場で開かれた結婚式で、末永い幸せを祈って披露された戎舞=南あわじ市福良 / 神戸新聞NEXT

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