Craft News

「西陣織、産地支援を」 出荷額ピークの8分の1に

京都の文化を支える伝統産業の西陣織が需要の落ち込みに苦しんでいる。京都府は支援を続けるが、出荷額は年々減少。地場産業の不振はまちの足元を揺るがすだけに、産地の住民は「振興につながる施策を」と願い、京都府知事選(4月6日投開票)の2候補の訴えを注視している。

西陣織の職人が多く移り住んだ京都市北区紫野。現在も細い路地に長屋づくりの民家が密集する。「子どものころは外に出れば機(はた)の音がにぎやかだった」。生糸撚糸製造業を営む林正則さん(69)は、静かな通りを眺めながらつぶやいた。

西陣織の出荷額は、バブル期にピークを迎え、1990年には約2794億6200万円(西陣織工業組合調べ)あった。ところが景気の悪化などにより和装の需要が減少。2012年で約336億5千万円まで落ち込んだ。

分業化された西陣織での販売不振の影響は、各工程を担う職人に及ぶ。注文に応じて生糸をより合わせる撚糸もその一つだ。林さんが理事長を務める府撚糸工業組合の加盟業者は、1990年で427だったが、2013年には37まで激減した。

府は記念品などを発注する「匠(たくみ)の公共事業」をはじめ、技術継承や商品開発などさまざまな支援策を講じ、着物での観光や婚礼を推進して和装需要の掘り起こしにも取り組む。知事選の2候補者も注目し、「伝統産業を京都経済の主役に据え直す」「若手職人の育成や販路開拓を支援する」と訴えを戦わせる。

地場産業の衰退は地域社会に影を落とす。紫野地区では廃業や転出による空き家の数を住民が調査したところ、200軒を超えていた。地域の高齢化も深刻だ。

林さんは「西陣織の復活には業界自身の努力はもちろん、今後も府の支えが必要だ。その上で、若者が定住できる環境整備など、伝統産業をはぐくんできた地域の振興という観点の施策にも期待したい」と話す。

http://www.kyoto-np.co.jp/economy/article/20140401000017
参照元記事 / 京都新聞

よりを掛けながら糸を巻き取る機械が軽快な音をたてる撚糸工場。景気悪化で組合加盟業者は激減した(京都市北区) / 京都新聞

よりを掛けながら糸を巻き取る機械が軽快な音をたてる撚糸工場。景気悪化で組合加盟業者は激減した(京都市北区) / 京都新聞

Powered by: Wordpress