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【開催報告】江戸に花咲く香文化~伝説の伽羅「聞香」体験~

2/8(日)に行われた、江戸に花咲く香文化~伝説の伽羅「聞香」体験~
の報告です。

 

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大江戸線「新御徒町」駅から徒歩1分の距離にある、
ギャラリー&スペースしあんを会場に、
今年度の水都江戸文化遺産塾の第一回目講座を無事、
開催することができました。
ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

この日は、前日までの雨がいったんあがりましたが、
「今日は如月の10日近き日。雨降りて湿度がある方が香りが立つ」
という情景通りの、湿り気のある空模様でした。

 

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講師を務めてくださったのは、現代の「香伝道師」、「香の語り部」
としてご活躍の香司 香十特別顧問 稲坂良弘先生。
稲坂先生は劇団文学座ご出身の演劇人で、テレビ・舞台の脚本執筆も
されていました。
そのため、お話がとても豊かで、誰でもすっと入り込めてしまう魅力を
お持ちなんです。
濃すぎるお話にどこからどこまで書いていいやら、悩ましいです。笑

 

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香木は、木にして木にあらず。

どういうことかというと、
木そのものが香る「白檀(びゃくだん)」とは違い、
木そのものがそのまま香るのではない、香木があるんです。

簡単に言うと、
特定の地域に生育する樹木に真菌類というバクテリアが入り込み、
時間をかけて、樹木(樹液)とバクテリアの生存競争の果てに、
芳香物質の塊ができたもの、それが香木の沈香(じんこう)や
伽羅(きゃら)になります。

これらの香木は、ベトナム、タイ、インドネシアなど東南アジアの
特定の地域のみで、偶然の産物としてできるそうです。

ちなみに。
現代でも、最高級の高木である「伽羅」の香りを完全に人工的に
作ることはできないそうなんです。

「へ~」ですよね。
という、香木の成り立ちのお話からスタートしました。

 

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日本への香木の伝来はいつかという話から、歴史を追って香のお話が
進んでいきます。

平安時代には、
香は、貴族たちの雅で贅沢な日々を彩る生活文化の一部としての側面
がおおきくなり、自分のセンス、世界観、言葉にできない思いまでを、
香によって表現していく。

そして、戦国の世では、香の一木を愛で「芸事」としての香が確立される。
香りという目に見えないものを芸道の世界にまで高めたのは、日本だけ
なんです。世界が驚嘆する世界がそこにはあります。

これは、稲坂先生の言葉で印象に残っているものです。
江戸時代になると、香の文化は階層を超えて広まった。

「伽羅」そのものの香りをかいだことがなくても、
伽羅が持つ意味を庶民までが理解している、そんな時代だったことが、
歌舞伎や落語の世界からわかることを、教えていただきました。

 

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香道には、「御家流(おいえりゅう)」と「志野流」の2つの
流派があります。
今回は、「御家流」のカンタンなお作法を手ほどきいただき、
「聞香」体験へ。

静かな時のなかで、香に心を集中させます。
「白檀」と「伽羅」の2種類の香りを聞いていただきました。

みなさまどんな感想をお持ちになりましたでしょうか?
「白檀」の香りをかいだことがある人も、
本物の「伽羅」をかいだことがある人は少ないと思います。

今回集まってくださったみなさまは、貴重で記憶に残る体験に
なったのではないかと思います。

 

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江戸時代に一般市民の間で流行したという「俳句香」。

「伽羅」の香りのイメージから「銘」を付け、
五七五で一句読むというところまで、チャレンジしました。

緊張の一瞬から発表の場まで…
「伽羅」の香りから、本当に素敵な、十人十色の銘が生まれました。

 
以下、ご参加のみなさまからのアンケートの内容を少しだけご紹介します。

 
「とても楽しく勉強になりました。
体験会には数回出ていましたが、こんなに歴史や
説明を お話してくれた方はいませんでした。
素晴らしい体験でした。」 東京都 ともこさん

「とてもわかりやすく丁寧な説明でよかったです。
高価な香木を使っていただいて感謝しています。」
M・Kさん

「先生のお話にメリハリがあり、 とてもわかり易く
聞き入ってしまいました。」近藤 恭子さん

「知らない文化と歴史を多く聞けて本当に面白かった
です。」陽子さん

「香の側面から見た歴史の流れがとても面白かった
です。 想像していたよりも、ずっと柔かく、素敵な
香りでした。」M・Oさん

「とても興味深かったです。良い体験ができまし
た。」 T・Iさん

「たいへん満ち足りた時間を過ごせました。
ありがとうございました。」 Y・Mさん

「まったく初めてで何一つ知識のない私でも、とても
わかり易く入っていけた。実際の体験もあり、しかも
貴重な伽羅を聞香させていただけたことは感動し、
感謝しています。もっと時間を取って知りたいことが
多かった。」 S・Iさん

 

 

今後の水都江戸文化遺産塾は以下の予定です。
ぜひ貴重な機会にご参加ください!

■3/8(日)15:30~17:15 江戸ゆかりの人々と和菓子~武家の菓子・庶民の菓子~
■3/14(土)13:30~16:00 江戸の和紙文化 ~粋を漉く、手漉き和紙技術体験~
■3/14(土)18:00~20:15 江戸に広まる食文化 ~世界が認めた健康食、江戸料理試食体験~
■3/21(日)13:30~16:00 江戸の灯り~和の心と技に触れる、手作り行燈体験~

 

でんみらブログ(2015.2.18)
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