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寺子屋の息吹 いまに伝える 江戸時代後期の教科書「子供節用集」

江戸時代後期に寺子屋で使われた教科書「早見字盡(はやみじづくし) 子供節用集(せつようしゅう)」の原本が26日、港区の都立中央図書館に寄贈された。文化3(1806)年の刊行。図書館でも節用集を数冊所蔵しているが、寄贈本は保管状態がよく、使われた当時の子どもの落書きなどが見られる点で貴重という。

寄贈したのは、荒川区荒川の高野修一さん(87)。節用集の原本は一九八八年に五十五歳で亡くなった妻〓子(きよこ)さんの遺品で、実家から持参したとみられるが、〓子さんがなぜ持っていたかは不明という。

修一さんは「使ってもらえれば、妻の供養になる」と思い、九三年度から複製本を六百冊作り、地元荒川区の小中学校などに寄贈してきた。ただ、自分の年齢を考え、原本を図書館に贈ることにしたという。

寄贈された原本は縦十八センチ、横十三センチ、袋とじで五十ページ。魚や鳥、虫、穀物、神社などに分類して語彙(ごい)と読み方を列記してある。

中央図書館で松山英幸館長から感謝状を受け取った高野さんは「しまっておくのでなく、活用してほしい」と希望しており、複製本六冊も贈った。松山館長は「江戸時代の日本の教育のすばらしさを実感できるような活用の仕方を考えたい」と語った。

図書館は特別文庫室に保管し、来館者の請求で閲覧できるようにする。都教育委員会は、海外留学に行く都立高校生の事前研修で、日本の歴史や文化を学ぶ時に活用するという。

※〓はさんずいに是

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20150527/CK2015052702000124.html
参照元記事 / 東京新聞

高野さんが寄贈した子供節用集の複製本の表紙 / 東京新聞

高野さんが寄贈した子供節用集の複製本の表紙 / 東京新聞

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