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伝統工芸士認定の4女性、技術受け継ぐ 岐阜提灯

国の伝統的工芸品に指定されている「岐阜提灯(ちょうちん)」の製造現場で、今年新たに伝統工芸士に認定された4人の女性が活躍中だ。以前は男性ばかりだった岐阜提灯の伝統工芸士は、彼女たちが加わり計8人と過去最多に。技術を受け継ぎながら、流行に合わせた新商品の開発にも携わっている。

岐阜提灯の伝統工芸士試験は昨年十月、六年ぶりに開かれ、受験した女性四人全員が合格。二月に経済産業大臣の認定証を受け取った。

最年少の池田裕子さん(31)=羽島市福寿町=は、高校を卒業して岐阜提灯を製造する浅野商店(岐阜市本町)に入社。伝統工芸士の受験資格が得られる十二年の実務経験を積んだ。お寺などの日本文化が好きで、興味を引かれたのがきっかけだった。

分業制の工程のうち、らせん状に巻いたひごに和紙をのりで張り付ける「張り」が池田さんの専門。作業の多くは外注するが、新製品の見本を作る重要な役割を任されている。「いろんな形の提灯を張るには、竹ひごを使った昔ながらの提灯をきれいに作る基礎が大事」という。

古川能利子さん(54)=北方町高屋=は、型紙の上からはけで顔料を塗っていく絵付けの技法「すり込み」が専門。同じ技法の職人で一九九七年に伝統工芸士になった父の稲見繁武さん(80)の仕事ぶりを見て育ち、子育てが落ち着いてから手伝うようになった。身近な仕事だっただけに「十二年たったら試験を受けるつもりだった」と話す。

松本秀代さん(53)=岐阜市宇佐=は、勤務するオゼキ(岐阜市小熊町)で張りを担当する五人中、一番のベテランだが「一昨年に亡くなった先輩には、まだ足元にも及ばない」と気を引き締める。

筆で絵付けをする野原明美さん(44)=池田町本郷=は「同じ絵柄の提灯を大量生産していた時代は終わり、多様な絵が求められるようになった」と二十四年の経験を振り返る。四人の子育てをしながら、自宅で仕事を請け負っている。

岐阜提灯協同組合によると、家庭を持ちながら副業として提灯作りに携わる女性は以前から多かった。職人が高齢化する中、若い伝統工芸士を増やそうと組合が呼び掛けたことも、今回の四人の決意を後押しした。

組合の尾関守弘理事長(63)は「伝統工芸士に認定された彼女たちの技術を、岐阜提灯のアピールにつなげていきたい」と話す。

http://www.chunichi.co.jp/article/gifu/20150616/CK2015061602000030.html
参照元記事 / 岐阜新聞

岐阜提灯の張りを担当する伝統工芸士の池田裕子さん=岐阜市上竹屋町の浅野商店工場で / 岐阜新聞

岐阜提灯の張りを担当する伝統工芸士の池田裕子さん=岐阜市上竹屋町の浅野商店工場で / 岐阜新聞

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