作家太宰治(1909~48年)が暮らした東京都杉並区の民家兼アパート「碧雲(へきうん)荘」の保存を求める地元区民らが9月14日、区内でシンポジウム「太宰サミット」を開く。太宰ファンを公言し、小説「火花」で芥川賞を受賞したお笑いタレント又吉直樹さん=写真=が講演や対談に参加することも決まった。
テーマは「太宰に会う、又吉に会う~荻窪の碧雲荘を残せるか~」。主催するのは地元区民らが昨年末に発足した「荻窪の歴史文化を育てる会」。会長の岩下武彦・中央大教授(国文学)は「若い世代に浸透している又吉さんを招くことが実現できた。碧雲荘の存在に広く関心を持ってもらえたら」と期待を込める。
碧雲荘の敷地は、区が隣接地と一体的に高齢者施設などを整備する目的で四月に所有者から入手。建物が保存できるか、注目されている。育てる会は「太宰が作家としての修業時代ともいえる時期を過ごした貴重な文化遺産。失われることは区民だけでなく、研究者やファンにも取り返しのつかない損失」などと訴え、区に三千七百人分超の署名を提出するなどして保存を求めている。
碧雲荘は昭和初期にできた二階建ての日本家屋。太宰は三六年十一月~翌年六月に二階の八畳間で生活し、「人間失格」の原型とされる短編「HUMAN LOST」を執筆したほか、短編「富嶽(ふがく)百景」には二階から眺めた富士山の描写も登場する。
太宰サミットは杉並公会堂で午後六時半から。参加費千円。事前申込制で、費用振り込み先着順。詳細はインターネットで「荻窪の歴史文化を育てる会」を検索できる。問い合わせは育てる会=電080(5644)2592=へ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015081802000244.html
参照元記事 / 東京新聞