熊野伝統の「お燈(とう)まつり」が6日、世界遺産に登録されている和歌山県新宮市神倉山の神倉神社であった。勇壮な火祭りとして知られ、上り子2055人が持ったたいまつの火が参道の石段に連なり、竜がうねるような光景をつくり出した。
熊野山伏の伝統を持つ、炎のみそぎ神事で、起源は「熊野年代記」に敏達天皇4(575)年に始まったと記されている。神武東征が起源という説もあり、県の無形民俗文化財。神社は熊野速玉大社の摂社で、日本書紀にも登場する巨岩「ゴトビキ岩」がご神体。素朴な自然崇拝の原点で、熊野の神が降臨した霊山といわれる。祭り当日は女人禁制になっている。
夕方から白装束で腰に荒縄を締めた男たちが、五角すいのたいまつを手に市内の社寺を巡った後、石段をゆっくり登って山頂にある神社に向かった。
境内でたいまつに神火が移されると次々と広がり、山が燃えさかるような光景になった。まもなく山門の扉が開くと、上がり子たちが「ウォー」と叫びながら飛び出し、538段の石段を駆け下りた。
暗闇の中、たいまつの火が帯状に連なり、民謡「新宮節」で「山は火の滝、下り竜」と歌われるように壮観な雰囲気を演出した。
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参照元記事 / AGARA紀伊民報