冬場の温かい飲み物というイメージが強い「甘酒」が、暑い季節の飲料としてじわじわ人気を呼んでいる。もともと江戸時代には夏場の飲み物として親しまれ、俳句では夏の季語の一つ。アミノ酸がたっぷり含まれた“栄養飲料”でもあり、熱中症が気になる時期を前に、酒造各社は「ノンアルコールで添加物を含まず、体にも良い」とPRしている。
甘酒はこうじを発酵させたり、酒かすに砂糖を加えたりして造られる。こうじ菌を利用する前者の製法ではアルコール分が0%。ブドウ糖やビタミンB群などが豊富で「飲む点滴」ともいわれる。
JR姫路駅前のスーパー「パントリー姫路店」には5~6種類の甘酒が並ぶ。年間を通じて販売しているが、数年前からはひな祭りシーズンのある2~3月に次いで、夏場の売り上げが伸びているという。
灘菊酒造(姫路市手柄1)の甘酒は、こうじと米だけを原料に、造り置きしないフレッシュさが売り。500、900ミリリットル入りが計毎月千本以上、多い時には月3千本近く売れ、近年は夏場の注文が増加傾向にある。
冷やしてそのまま飲むのもいいが、同酒造杜氏(とうじ)の川石光佐(みさ)さん(36)は牛乳や豆乳で割ったり、バナナを入れミキサーにかけたりする味わい方を紹介。「塩分が気になる人は塩こうじの代わりに料理に使うのもお勧めです」とも話す。
パウチ入りの飲みきりサイズ(130グラム)を販売する「一ノ蔵」(宮城県大崎市)では、7~8月の売り上げが好調。同社は「江戸時代のゆったりした生活の良さが見直されてきたのも、夏場に飲まれるようになった一因では」と分析する。
国内有数の酒どころ・灘五郷でも「大手を中心に通年、甘酒を造っている」と灘五郷酒造組合(神戸市東灘区)。最近では甘酒に似た、米が原料の新しい飲料「ライスミルク」に取り組む蔵もあるという。
http://www.kobe-np.co.jp/news/kurashi/201506/0008144660.shtml
参照元記事 / 神戸新聞NEXT