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琳派テーマに蒔絵の万華鏡 京都の若手職人ら共同制作

京都市の若手蒔絵(まきえ)師らが、京都万華鏡ミュージアム(中京区)と共同で、筒に蒔絵を施した万華鏡を制作した。琳派(りんぱ)をテーマにした重厚感ある5作品が完成し、蒔絵師らは「蒔絵の技術や魅力を多くの人に伝えたい」と期待する。

手掛けたのは、京都産業大教授の蒔絵師下出祐太郎さん(60)=下京区=と若手の女性職人6人。万華鏡の筒に、神坂雪佳の「金魚玉図」や「百々世草」、中村芳中の「光琳画譜」の子犬などを描いた。

2年前、ミュージアムの伊藤知子館長から制作を相談された下出さんは、木地ではなく、軽い紙管を使った万華鏡づくりを提案。製品化のめどがついたことから、下出さんが琳派400年をテーマにデザインし、若手職人が下出さんの指導で蒔絵を手掛けた。

漆を塗った後、木炭で研いで鏡のような艶を出した。金魚と目が合っているような作品の雰囲気を出せるよう工夫し、日本画の技法「たらし込み」を蒔絵の技術で表現した。多くの人が触れても色の変化が起こりにくい種類の銀を使うなど配慮した。伊東麻純さん(26)は「もとの絵を参考に印象を壊さないよう、顔に目を入れるときは特に気をつけた」と振り返る。村田淑恵さん(31)も「より蒔絵を身近に感じてほしい」と話す。

蒔絵が施された万華鏡は、著名な万華鏡作家によって完成。制作監修したミュージアムの伊藤館長は「重厚感ある作品」と喜ぶ。2年後に、京都市内で万華鏡の世界大会が開催されることから、「万華鏡を通して京都が工芸のまちだと発信していきたい」と強調する。

制作した万華鏡は、「京蒔絵万華鏡」として館内ショップで販売している。

http://kyoto-np.jp/sightseeing/article/20150731000054
参照元記事 / 京都新聞

完成した万華鏡5作品。琳派をテーマに金魚や子犬などがデザインされている / 京都新聞

完成した万華鏡5作品。琳派をテーマに金魚や子犬などがデザインされている / 京都新聞

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