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美人画に隠された謎掛け 江戸時代の「見立絵」読み解く

何気ない美人画や風景画の中に作者のちょっとした謎掛けがある-。江戸時代に流行した「見立(みたて)絵」の妙を知ってもらう講座が9月10日、大津市打出浜のコラボしが21で開かれる。琵琶湖文化館(同市)の学芸員が館蔵品を中心に「通(つう)」な見方を紹介する。

見立絵は画中に描かれた生き物やアイテムから、日本の古典や中国の故事などを連想して楽しむ。教養のある人には「タネ」が分かる仕組みで、江戸時代に庶民の知的な娯楽として人気を博した。

例えば、猫を抱く女性を描いた葛飾北斎の浮世絵は、一見すると単なる美人画だが、実は源氏物語で女三宮と後に不義密通する柏木が、猫をきっかけに彼女を見初める場面がモチーフになっている。

学芸員の上野良信さん(66)は「江戸時代の風俗に置き換えた見立絵。源氏物語を知っていないと本当の意味が分からない」と北斎の意図を説明する。

また尾形光琳の有名な「燕子花(かきつばた)図屏風(びょうぶ)」も、画中に人物のいない「留守模様」と呼ばれる手法を用いて、平安時代の歌物語、伊勢物語の一節を見立てているという。上野さんは「江戸時代の町人のように、見えているものの一つ先を知る楽しさを味わってほしい」と話す。

講座は、同館と県教育委員会が催す「滋賀の文化財講座 打出のコヅチ」の一つ。午後1時半~同3時で定員200人。無料。問い合わせは同館TEL077(522)8179。

http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20150828000027
参照元記事 / 京都新聞

葛飾北斎が「見立絵」の基にしたとされる源氏物語の一場面(江戸時代、作者不詳)=琵琶湖文化館蔵 / 京都新聞

葛飾北斎が「見立絵」の基にしたとされる源氏物語の一場面(江戸時代、作者不詳)=琵琶湖文化館蔵 / 京都新聞

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