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【伝統×デザイン】切り口が美しい「日本の包丁」、海外でもブーム

調理道具や食器、厨房(ちゅうぼう)設備などがそろう日本一の道具街、合羽橋(かっぱばし)(東京都台東区)。その中ほどに創業106年の料理道具店、釜浅(かまあさ)商店はある。

各種包丁が並ぶコーナーには近年、和包丁を求める海外からの客が目立つ。多くは料理のプロだが、一般観光客の姿も増えた。柳刃包丁に出刃包丁、薄刃包丁…。英・仏・日本語を操る同店スタッフ、マリナ・メニニさんと相談しながら品定めする目は真剣だ。

海外で日本の包丁が注目されて久しい。「もはやブーム。でも一過性の流行にはしたくない」と同店代表、熊澤(くまさわ)大介さん(40)は話す。「末永く大事に使ってもらうには、どこでどのように造られているのか、背景を伝える必要がある。そして何より、手入れの大切さ。切れなくなったと放置されることのないよう、きちんと研いで手入れすれば切れ味が持続することを知らせていきたい」

ひとつの試みとして、釜浅商店は今年4月、パリのギャラリー「NAKANIWA」で1週間、企画展「日本の庖丁(ほうちょう)とその背景」を開催した。包丁を展示販売するだけでなく、代表的産地(和包丁の大阪府堺市、洋包丁の岐阜県関市)でメニニさんが撮影した職人たちのポートレートを展示。会期中はほぼ毎日、概要や産地、手入れを学ぶワークショップも行った。研ぎ方については「実際に体で覚えてもらうのが一番」とメニニさん。

「日本人の同僚が使っているのを見て」という料理人から、「日本刀に憧れて」という人まで、包丁に関心を持つきっかけはさまざま。「うれしいことに、連日来てくれる若手料理人も。次の日、また次の日と、レストランの同僚や友人を連れてきてくれた」と熊澤さん。日本の包丁が好評な理由をこう分析する。「食材や料理を単に切り分けるだけでなく、日本の包丁は切り口を美しく見せる。切り口が美しければ舌触りもよく、おいしく感じる。そこに海外の人々も気付き始めたのでは」

現地の様子を聞いた包丁の柄付け職人、川澤(かわさわ)刃物工業(堺市)の川澤忠勝さん(70)は「使う人の反応やニーズを知る機会は貴重。今後に生かしたい」と語る。伝統的な堺の包丁は近年、海外輸出を伸ばしているが、楽観はできない。川澤さんは「鍛冶約60軒、刃付け約60軒あるうち、後継者は合わせて15、16人ほど。何も手を打たなければ、堺の刃物は消えてしまう」と危惧する。まず日本人が、包丁と産地の現状を知ることから始めたい。

釜浅商店が併設する「ギャラリーKAMANI」で、写真展「道」が開かれている。職人の写真とともに、パリの展覧会の模様も紹介。8月31日まで。問い合わせは(電)03・3841・9355。

http://www.iza.ne.jp/kiji/life/news/140719/lif14071917000001-n1.html
参照元記事 / iZa 産経デジタル

切り口が美しい「日本の包丁」、海外でもブーム / iZa 産経デジタル

切り口が美しい「日本の包丁」、海外でもブーム / iZa 産経デジタル

 

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