News

鴎外や漱石ゆかりの熊本「長崎次郎書店」が外観そのまま営業再開 / 熊本

明治7(1874)年創業で文豪・森鴎外らも訪れた熊本市中央区新町の老舗書店「長崎次郎書店」が、1階は書店、2階は喫茶室として営業再開し、住民の憩いの場として人気を集めている。経営者の体調不良により一時閉店していたが、レトロな外観はそのままに内装を一新し、特色ある書店としてよみがえった。

長崎次郎書店は、森鴎外の「小倉日記」の中で「書肆(しょし)の主人長崎次郎を訪ふ」と記されている。旧制第五高等学校(現・熊本大)で教鞭(きょうべん)を執った夏目漱石やギリシャ出身の小説家、小泉八雲も訪れたといわれる。

建物は大正13年に建築された。東京・丸の内の三菱レンガ街などを手掛けた建築家、保岡勝也の設計で、木造2階建ての建物は、外装にレンガを使っている。独特のスタイルが評価され、平成10年、国の有形文化財に登録された。

戦後も教科書や一般書籍を扱う書店として営業したが、昨年4月、経営者が体調不良のため店を閉めた。経営者はその後、亡くなった。

歴史が息づく書店を残そうと、親戚(しんせき)に当たる長崎健一社長が再開に乗り出した。長崎社長は、熊本市中央区上通町で「長崎書店」を経営する。

今年7月31日、老舗の屋号を継承し、長崎次郎書店の1階部分(約125平方メートル)で小規模ギャラリー併設の書店を再開した。

建物には耐震補強など改修工事を施した。以前は住居や倉庫などに使われていた2階部分(約100平方メートル)に10月26日、喫茶室を開いた。

喫茶室の内装は木と珪藻土の壁を基調として、老舗書店の雰囲気を出した。客席は30席で、熊本県菊陽町のインドネシア産豆専門店「岩下珈琲(コーヒー)」から豆を仕入れている。

店先を行き交う路面電車を眺めながら、こだわりのコーヒーと、買ったばかりの本を楽しめるぜいたくな空間は評判を呼び、多くの利用者が来店するようになった。

書店の建物全体は、前経営者の弟、長崎圭作氏が社長を務める会社が管理している。圭作氏は「今年は創業140周年の節目。これほど長い歴史と貴重な建物を持つ書店は全国にも少ない。今以上に地域の人に愛され、多くの人が集まる場所にしたい」と語った。

http://www.sankei.com/region/news/141227/rgn1412270043-n1.html
参照元記事 / 産経ニュース

再開した老舗書店「長崎次郎書店」。国の有形文化財に登録されている=熊本市中央区新町 / 産経ニュース

再開した老舗書店「長崎次郎書店」。国の有形文化財に登録されている=熊本市中央区新町 / 産経ニュース

Powered by: Wordpress