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土居光華の書簡215通発見  伊藤博文、板垣退助ら / 三重

明治時代の三重県選出の衆院議員土居光華(こうか)が伊藤博文や板垣退助、渋沢栄一ら明治から昭和初期の政治、経済界の要人らと交わした書簡二百十五通が、東京の玄孫(やしゃご)宅から見つかった。板垣が襲撃された岐阜事件や日英同盟、大正時代に政界を揺るがせた海軍贈賄事件「シーメンス事件」など、歴史上の出来事が話題になっており、寄託を受けた同県松阪市郷土資料室は、日本の近代史を検証する一級の史料として解読を進めている。

書簡は、東京都北区の玄孫が保管していて昨年四月、松阪市に住む叔母で土居のひ孫に当たる赤塚邦代さん(77)に「土居は松阪に縁があるので」と送付。赤塚さんはすぐ、全書簡を市郷土資料室に寄託した。

板垣の襲撃事件は明治十五(一八八二)年四月六日に発生。吉田茂元首相の実父で、板垣の側近だった竹内綱から二日後の八日付で、土居に手紙が送られた。事件直後に板垣死亡説が流れたせいか「負傷したのは大いに心配だったが、浅手だったのでご安心ください」「今は毎日いろんな所から来訪がある。詳しいことは後でお知らせします」などと書かれていた。

ほかに大隈重信、桂太郎、原敬ら首相経験者や孫文からの書簡、犬養毅宛ての手紙の下書きなどもあり、解読を進める松阪市郷土資料室の杉本喜一さんは「歴史の教科書に出てくる人物が次々に出てきて歴史的に重要と思われる物も何点かある」と話す。

松阪市は二〇一五年度に書簡や解読文を載せた目録兼史料集を出版する予定。書簡の一部や関連資料約五十点を十七日から、市歴史民俗資料館で展示する。

 
多彩な著名人貴重

玉井清・慶応大教授(近代日本政治史)の話 これだけまとまって近代の著名人の書簡が出てくるのはあまりない。近代史を検証する一助になる興味深い史料だ。

 
<土居光華(1847~1918年)>
淡路国三原郡(現兵庫県南あわじ市)出身。東京府兵事課長、三重県多気郡長を務める。三重県第4区から第3回と第4回の総選挙に出て衆院議員に。自由民権の政治家で、漢学者、文筆家、翻訳家としても知られる。松阪市の山室山を桜の名所「新吉野」にしようと尽力するなど地域振興に尽くした。

 
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2015031602000227.html
参照元記事 / 中日新聞

板垣退助が土居光華に宛てた手紙 / 中日新聞

板垣退助が土居光華に宛てた手紙 / 中日新聞

土居光華=赤塚邦代さん提供 / 中日新聞

土居光華=赤塚邦代さん提供 / 中日新聞

 

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