News

成功の鍵は異業種と海外 同志社ビジネス「革新塾」

同志社ビジネススクールの伝統産業グローバル革新塾で、具体的な成果が出始めた。西陣織の内装材が欧米で人気を得ているほか、コメの贈答品市場を新たに開拓した。異業種連携や海外展開が成功の要因となっている。

 
西陣織の内装材/贈答用コメ 具体的な成果 続々

塾は、京都の伝統産業を「文化ビジネス」として再生するため、村山裕三教授が2007年度に開設した。西陣織や京友禅、京焼・清水焼、京扇子など幅広い分野から中小企業の経営者や職人ら延べ約90人が参加した。製品開発や市場調査、販路開拓に取り組んだ結果、複数の案件が一定の受注を獲得し、成長軌道に乗った。

西陣織の細尾(京都市中京区)は、内装材として海外の見本市に出展したところ、米国の建築事務所の目に留まり、10年に欧州の高級ブランドが中国・上海市に出店した大型店の壁材に採用された。その後、顧客の要望に基づき洋装用の広幅で織った結果、海外のホテルや服飾ブランドなどから受注が相次いだ。今年6月期の内装材の売上高は1億5千万円を見込む。

現在、上京区の工房では5台の織機をフル稼働させ、若手職人も育成している。細尾真生社長は「和装にこだわらず、西陣織を素材として提供したことで用途が広がった。西陣織でしか表現できない織物の需要は大きく、自信と誇りを持ってチャレンジすることができた」と話す。

米穀販売の「八代目儀兵衛」(下京区)は、用途に合わせた12種類のコメをそれぞれ風呂敷で包んで詰め合わせた「お米ギフト」が大ヒットした。インターネット通販サイト「楽天市場」の贈答品部門で首位を獲得するなど内祝い向けを中心に人気が高まり、昨年7月期はネットの売上高が11億円まで拡大した。老舗の米穀店を継いだ橋本隆志社長は「売り方の常識を変えたことで新しい価値を提供できるようになった」と手応えを示す。

ほかにも木版印刷の「竹笹堂」(下京区)は職人の育成につなげ、多用途に展開している木版の発信力を高めることにつながったという。

塾は15年度で終了し、ビジネススクールの授業に引き継ぐ。15年度は成果や課題を総括し、記念シンポジウムなども計画している。

http://www.kyoto-np.co.jp/economy/article/20150323000158
参照元記事 / 京都新聞

西陣織を量産する細尾の工房。内装材として海外からの受注が相次いでいる(京都市上京区)=上=と、風呂敷で包んだ米のギフト商品がインターネット通販サイトで人気を集めている(下京区・八代目儀兵衛) / 京都新聞

西陣織を量産する細尾の工房。内装材として海外からの受注が相次いでいる(京都市上京区)=上=と、風呂敷で包んだ米のギフト商品がインターネット通販サイトで人気を集めている(下京区・八代目儀兵衛) / 京都新聞

Powered by: Wordpress