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北陸への親しみ描く 魯山人展 6作品初公開 / 石川県立美術館

「究極の美食家」ともいわれる北大路魯山人(きたおおじろさんじん)の絵画など6点が、25日に石川県立美術館(金沢市)で開幕する魯山人展で初公開される。魯山人の名を高めた東京・赤坂の会員制の高級料亭「星岡茶寮(ほしがおかさりょう)」の庭を造った丸岡与三次(よそじ)の子孫が金沢市内で保存していた。北陸人との心の交流を示す新資料として注目されそう。

六点のうち、魯山人らしい洒脱(しゃだつ)な作品は縦十九センチ、横二十六センチの墨絵。羽織を着込んで、湯が沸くのを待つ与三次が柔らかな線で表現されている。羽織の家紋は与三次の字を採り「与」。親しみがあふれている。

この絵が描かれたのは一九三三(昭和八)年。魯山人は、「電力の鬼」ともいわれた実業家で茶人の松永安左エ門とともに金沢市寺町の与三次宅を訪ねた。別荘建設に着手した松永が、茶の湯の心が分かる与三次に作庭を依頼していた。

魯山人と与三次は旧知の間柄だったが、庭の話をしていた与三次が懐石では一転して茶人になる妙味に魯山人の絵心が動き、懐石ばしに墨をつけると、与三次を一気に描いてみせたという。

このほか、新巻きザケを題材にした短冊(縦三十六センチ、横六センチ)、キノコを描いた「秋の情緒」(縦十九センチ、横五十二センチ)などの絵画五点、書一点も初公開される。六点は家業を継いだ孫の喜市さん(64)が保存し、茶席で掛けたことがあるが、一般に知られることはなかった。

魯山人展には書、陶芸、絵画、漆芸の多彩な約二百点が八月二十三日まで展示される。主催は北陸中日新聞、石川県立美術館、石川テレビ放送。
長く続いた交流の証し

魯山人に詳しい石川県九谷焼美術館の中矢進一副館長の話  魯山人は仲間や同僚とけんか別れすることが多かったが、北陸の人々との交流は長く続いた。金沢や山代温泉(石川県加賀市)の人々と出会わなければ、美食家であり、「陶芸の巨人」でもある魯山人はいなかったといっても過言ではない。六点は、北陸の人たちと親しく交わった証しといってよい。
【北大路魯山人(1883~1959年)】 京都に生まれ、書・篆刻(てんこく)家として出発。1925年に設けた「星岡茶寮」では顧問兼料理長として独自の着想でもてなしの世界を築き、理想とする器を求めて作陶にも打ち込んだ。陶芸は、山代温泉で名工須田●華(せいか)から手ほどきを受け、開眼した。古磁器から学びながら遊び心がある器は今も人気を集めている。

●は草かんむりに青

 

http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2015072102100018.html

参照元記事 / 中日新聞

魯山人が描いた丸岡与三次の画像。丸岡家で大切に保存されていた / 中日新聞

魯山人が描いた丸岡与三次の画像。丸岡家で大切に保存されていた / 中日新聞

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