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新庄まつり:全ての山車にGPS 24日開幕

◇HPに位置情報、渋滞緩和も

国の重要無形民俗文化財で260年の歴史を持つ「新庄まつり」は24日開幕する。同日夜と25日午前と夜に、豪華絢爛(けんらん)な山車(やたい)行列が山形県新庄市街地を巡る。街中に「チェレーンコヤッサー」の掛け声と、太鼓や三味線のはやしが街全体に響き渡る、市の夏の終わりを告げる祭りだ。今年は20台の山車全てにGPS(全地球測位システム)機能を持つタブレット端末を設置する取り組みを新たに始めるという。どのような狙いがあるのか?

「GPSの利用で山車の位置を把握するためです」。担当の市商工観光課観光交流室の斎藤一成主任(40)は答えた。山車の位置情報は新庄まつりのホームページ(HP)から見ることができる。リアルタイムで山車の位置が正確に分かることで、スムーズな祭りの運行や観光客への正確な情報提供、警備員などの的確な配置、交通渋滞の緩和などが期待できる。また、地図にはトイレの位置も表示され、観光客にはうれしい仕様になっている。

GPSを利用した山や屋台の位置情報の発信は他の祭りで既に始まっている。色鮮やかな14台の曳山(ひきやま)が街中を駆け巡る、佐賀県唐津市・唐津神社の秋季大祭「唐津くんち」(11月2〜4日)では2009年から実施。同市観光課などによると、08年に佐賀県警から「可能な限り早く道路の交通規制を解くため、曳山が交差点などを通過する時刻を正確に知りたい」と依頼されたことがきっかけという。

先頭の一番曳山、中ほどの八番曳山、最後列の十四番曳山の3台にGPS機能のある携帯電話を巾着袋に入れて設置。祭り期間中は携帯電話サイト「からつ観光ナビ」で巡行中の曳山の位置などを知ることができる。

埼玉県川越市の川越まつり(10月第3土、日曜)では昨年、東洋大の協力を得て山車(だし)の位置を発信するアプリを開発。祭り当日は携帯電話を持った同大生が21台の山車のうち、5台にぴったりついて位置情報をスマートフォンなど向けアプリで発信する取り組みを試験的に始めた。川越まつり会館などによると、毎年、観光客からどこに山車がいるのかとの問い合わせが多数寄せられたため。同県熊谷市の熊谷うちわ祭(7月20〜22日)で、07年から立正大と連携してHP上で同様の取り組みを先行していた同市にノウハウを聞いたという。同市商業観光課によると、観光客からは「正確に位置が分かり、大変助かる」といった歓迎の声が上がっているという。

新庄まつりでの今回の取り組みは、文部科学省の「文化遺産を活(い)かした地域活性化事業」に採択された。GPSを使った山車(やたい)などの位置情報の提供を含め、祭りの検定クイズとミニゲームも楽しめるスマートフォンなど向けアプリの開発を進める。予算は約300万円という。

新庄市の斎藤主任は「子供も山車をひくので、居場所が分かることは防犯や安全の確保にもつながる」と意義を強調する。山車が市街地を巡行するのは24日午後6時半からと、25日午前10時と同午後6時半から。詳細は新庄まつりのHP(http://shinjo-matsuri.jp/)で。

http://mainichi.jp/select/news/20150823k0000e040136000c.html
参照元記事 / 毎日新聞

昨年の「新庄まつり」で、下金沢町若連が制作した「土蜘蛛草紙」の山車=新庄市の中心街で / 毎日新聞

昨年の「新庄まつり」で、下金沢町若連が制作した「土蜘蛛草紙」の山車=新庄市の中心街で / 毎日新聞

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