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秋にも飾る雛人形 老舗「久月」が所蔵品公開

女の子の成長を願う雛(ひな)祭りはかつて、もっと自由だった。動物や偉人の人形を飾り、秋にも楽しんだ。多彩な雛祭りの歴史を紹介する展覧会が、19日から台東区・浅草橋の老舗人形問屋「久月」で開かれる。

張り子に黒や茶色に染めた絹糸をのり付けし獣毛のようにした六体の犬が、愛くるしさを振りまく。「毛植え」と呼ぶ動物人形は、江戸時代後期から明治時代にかけ京都で盛んに作られた。六体の毛植えの犬は、明治天皇からの下賜品である可能性が高いという。当時は、雛人形と一緒に好きな人形を置いて楽しんだ。

創業百八十年の久月が、所蔵品を初めて一般公開する「久月雛人形 時代コレクション」展は、忘れさられていた雛祭りの歴史に光をあてる。

江戸時代後期に作られた「享保雛」の雛壇には、菅原道真、小野小町、柿本人麻呂の「三歌人」がいる。江戸時代は、「花咲かじいさん」や「浦島太郎」など昔話の主人公を並べることも流行したらしい。

明治天皇が皇族の子女に贈ったとされる「御台人形」は、直立している。もともと台の上に乗っていたことが名前の由来となった。雛人形は座っているもの、という常識をくつがえす。

久月専務の横山久俊さん(33)によると、男女の親王(内裏雛)を最上段に、三人官女や五人ばやし、右大臣、左大臣などを七段で飾るやり方が広まったのは、戦後になってからという。

かつては秋にも飾っていた。重陽の節句(旧暦九月九日)に自分の雛人形を飾り、長寿を願う「後の雛祭り」だ。今年は十月九日が重陽の節句にあたるため、この時期の展覧会を企画した。雛人形のデザインの変遷を紹介する七種類のレプリカと、二十一種類の実物を展示。横山さんは「いまの人たちにも、形式にとらわれず自由なやり方で雛祭りを楽しんでほしい」と話す。

展覧会は二十三日まで。入場無料。会場の「久月浅草橋総本店」は台東区柳橋一の二十の四。JR浅草橋駅東口、都営地下鉄浅草橋駅A3出口そば。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20150918/CK2015091802000156.html
参照元記事 / 東京新聞

愛くるしい「毛植え」の犬=台東区の久月浅草橋総本店で / 東京新聞

愛くるしい「毛植え」の犬=台東区の久月浅草橋総本店で / 東京新聞

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