Exhibition

伝統の中で色彩と造形を匠みに操る「デザイナー芹沢銈介の世界展」日本橋高島屋で開催

型絵染の人間国宝、芹沢銈介の作品と収集した美術品を展示する「生誕120年記念 デザイナー芹沢銈介の世界展」が日本橋高島屋で開催されている。

柳宗悦との出会いをきっかけに民藝運動に共感し、沖縄の紅型から、独自の紙絵染を創始したことで知られている芹沢銈介。染色作家という枠では語りつくせない、色彩と造形を操る卓越したデザイナーであったということを実感させられる展示だ。

展示は二部構成となっており、第一部は、芹沢の制作した作品の展示「デザイナー芹沢銈介‐あふれ出る美意識」。第二部は、芹沢が収集した美術品の展示「芹沢銈介の目‐心を揺さぶったもの」。“作品が記憶に残っている状態で、収集した美術品を見ることで、美術品を単に収集したものとしてではなく、芹沢の美意識や感性を培ったものとして見て欲しい”という主催者の想いが込められている。

第一部は、四つのテーマ「文字と遊ぶ」「伝統の中の新しさ」「琉球への想い」「斬新な試み」から構成されており、作品を通して、芹沢の美意識や価値観をカテゴリー別に鑑賞することができる。

「文字と遊ぶ」では、文字の中に具体的なモチーフを取り込んだり、一つの文字を複数の色で表現することで、文字に動きを与え、文字の背景にある情感まで視覚化しようとした作品。「伝統の中の新しさ」では、伝統的な“松”や“鯛”をはじめとしたモチーフに、新たな視点を加えたり、配列を変えることで、伝統的な文化や美を大切にしながらも、伝統に縛られまいとする芹沢の情熱がこもった作品が展示されている。「琉球への想い」では、柳宗悦の民藝に出会い、沖縄の紅型の色使いに大きな影響をうけた作品。「斬新な試み」では、庄内地方で荷物を背負う時に背中に当てて用いられた“ばんどり” をモチーフした屏風や、ヨーロッパの扉のデザインを施したのれんなど、今でも驚くような斬新なデザインの作品が展示されており、このエリアの作品は、国内や海外で収集した美術品の影響を、大きく受けているとされている。

柳宗悦や河井寛次郎など、民藝の人々との交流が深かった高島屋は、昭和9年、日本民藝協会が主催する初めての「現代日本民藝展示会」を開催して以来、民藝に関わる数多くの展示会を開催してきた。今回の展示は東京だけでなく、横浜、京都、大阪の高島屋でも開催される。ぜひ、芹沢銈介の世界に足を運んでみて欲しい。

日本橋高島屋での会期は2014年9月23日まで。2014年9月25日から横浜高島屋へ、2015年1月に京都高島屋、大阪高島屋へと巡回予定。

http://www.japandesign.ne.jp/editors/articles/view/257
参照元記事 / JDN

デザイナー芹沢銈介の世界展 / JDN

デザイナー芹沢銈介の世界展 / JDN

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