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胃腸薬 : 江戸の丸薬、発見…わらに包まれ鳥取の旧家に / 鳥取

鳥取市内の旧家の屋根裏に保管されていた、江戸後期のものとみられるわら包み「藁苞(わらづと)」の中から、1658年創業の老舗製薬会社「有川製薬」(滋賀県彦根市)の胃腸薬「神教丸(しんきょうがん)」が当時の姿のまま見つかった。専門家も「これほど保存状態の良いものは貴重」と話す。

有川製薬によると神教丸は、長命長寿の神として有名な多賀大社(滋賀県多賀町)の教えに基づいて作られたと伝えられる赤色の胃腸薬で、現在も製造が続く。古い丸薬を発見したのは、地元で古文書研究を続ける意上奴(いがみぬ)神社(鳥取市)の宮司、大沢邦彦さん(69)。藁苞は大小三つあり、処分に困った持ち主から約3年前に譲り受けて昨年末から調査していた。

丸薬の入った紙袋には神教丸と書かれており、殺菌作用があるとされる竹の皮に包まれていた。藁苞からは多賀大社と記された御洗米(ごせんまい)も見つかった。

鳥取県教委文化財課の伊藤康晴専門員(日本近世史)によると、因幡地方では江戸後期〜大正期、神職の各戸訪問や参拝で入手した古いお札は藁苞に入れ保管されることが多かった。「家内安全や豊作などを祈願する意味があった」といい、伊藤専門員は「(丸薬も)多賀の神職がお札と共に持ち込んだのではないか」と推測する。

古い薬を展示している内藤記念くすり博物館(岐阜県各務原市)の稲垣裕美学芸員は「古い薬が見つかることはあるが、たいていはカビが生えているなど保存状態が悪かったり、気付かれないまま捨てられてしまう。今回のように当時のままの形で残っているのは貴重」としている。

http://mainichi.jp/select/news/20150225k0000e040191000c.html
参照元記事 / 毎日新聞

藁苞の中から発見された神教丸と書かれた紙袋と赤みを帯びた丸薬(上)=鳥取市紙子谷で2015年2月24日、川瀬慎一朗撮影 / 毎日新聞

藁苞の中から発見された神教丸と書かれた紙袋と赤みを帯びた丸薬(上)=鳥取市紙子谷で2015年2月24日、川瀬慎一朗撮影 / 毎日新聞

現在売られている神教丸=有川製薬提供 / 毎日新聞

現在売られている神教丸=有川製薬提供 / 毎日新聞

 

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