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幻の漆器「書写塗」が復活 神戸や東京で人気広がる

書写山円教寺(兵庫県姫路市書写)に伝わる漆器「書写塗」が、各地でじわりと人気を広げている。書写塗は磁器の普及などに押され約150年前にいったん技術が途絶えたが、地元職人らが寺に残る漆器を調べ、1997年に復活。徐々に知名度が高まり、今年2月からは神戸のホテルや東京の箸専門店で扱われ始めた。職人らは「地道な活動が実を結んだ」と喜ぶ。(末永陽子)

書写塗は1585(天正13)年の羽柴秀吉による紀州攻めで、和歌山などから逃れてきた僧侶が漆の技術を伝えたのが始まりとされる。黒漆で下塗りした上に朱漆を塗っており、使い込むほどに中の黒漆が所々出てきて味わいを増す。かつては高僧のもてなしに使われていたが、明治時代に入り技術が途絶えたという。

“幻の漆器”を復活させようと、塗師の岡田道明さん(56)=たつの市揖保川町馬場=らが1997年に「書写塗伝承協会」を結成。文献で漆の種類や技法の研究を重ね、鮮やかな朱色と独特の風合いをよみがえらせた。

その魅力は現代においても色あせない。神戸市中央区の「ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド」は3、4月に姫路などの食材を使って催す「播磨フェア」で、コース料理の器として採用した。数万円する書写塗の器は美術品として扱われることも多いが、木下学料理長(39)は「どんな料理とも相性が良い。手に取ってもらうことで、さらに魅力が分かるはず」と話す。

東京都内で5店舗を展開する箸専門店は書写塗のオリジナル商品を特注、2月から販売を始めた。同店は従来、数千種類の箸をそろえるが、「書写塗は、ほかにない色。外国人観光客にも人気が出そう」と太鼓判を押す。

塗師の岡田さんは「少しずつ価値が認められてうれしい。将来は海外にも広めたい」と話している。

http://www.kobe-np.co.jp/news/himeji/201502/0007773322.shtml
参照元記事 / 神戸新聞NEXT

書写塗の魅力を発信する塗師の岡田さん(左)と、「ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド」の木下料理長=姫路商工会議所 / 神戸新聞NEXT

書写塗の魅力を発信する塗師の岡田さん(左)と、「ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド」の木下料理長=姫路商工会議所 / 神戸新聞NEXT

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