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懐かしの玩具「地球ゴマ」さらば 職人高齢化…94年の歴史に幕 

ジャイロ効果を利用した科学玩具「地球ゴマ」を大正時代から作り続けてきた名古屋市千種区のタイガー商会が経営者や職人の高齢化のため、94年の歴史に幕を下ろすことになった。現在注文を受けている分で製造を終えるが、事業継続を目指す動きも出始めている。

地球ゴマは、金属製のリングを十字に組み合わせた外枠の中で、軸に支えられたこまが回転する仕組み。回転する物体が空間で一定の姿勢を保つジャイロ効果を利用し、ペン先や糸の上でも回り続ける。地軸が傾いたまま自転している地球の動きを説明できることから命名された。

時計職人だった初代社長が科学雑誌に掲載されたジャイロスコープの記事をヒントに発案。商品を製造するため、1921年にタイガー商会を設立した。

当初は売れず、縁日などで実演販売を続けていたが、1960年代にテレビCMを流したところ、子どもたちの間で大流行。最盛期には約20人の職人を抱え、年間20万~30万個を製造していた。

タイガー商会の地球ゴマは時計部品で培った精密な加工が売り。回転の安定性や持続性は、粗悪な模倣品とは比べものにならなかった。

しかし、職人が減っていくにつれて生産数も年々減少。ここ数年は2万~3万個にとどまっていた。最後に残った3人の職人のうち、2人が引退することを決心。社長の志摩良子さん(84)も病気治療に専念することになったため、会社を畳むことにした。他社から地球ゴマの製造を引き継ぎたいとの申し出が来ており、前向きに検討しているという。

体が言うことをきかなくなり、引退を決めた工場長の巣山重雄さん(85)は「目の前で回すと子どもたちの目が生き生きと輝くのは、いつの時代でも変わらない。これからも地球ゴマには残っていってほしい」と話している。

http://www.sankei.com/west/news/150425/wst1504250056-n1.html
参照元記事 / 産経WEST

「地球ゴマ」を回すタイガー商会工場長の巣山重雄さん=名古屋市千種区 / 産経WEST

「地球ゴマ」を回すタイガー商会工場長の巣山重雄さん=名古屋市千種区 / 産経WEST

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