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知ってますか?!日本の伝統文化 子供向け図鑑や紹介本、刊行相次ぐ

落語や狂言などの伝統芸能から日々の暮らしに根付く習慣まで、子供向けに日本の文化を紹介する児童書の刊行が相次いでいる。生活習慣や家族のあり方が変化するなか、改めて自国の文化に触れ、理解してもらおうという内容。2020年東京五輪開催を控え、親世代の関心も高まっているという。
昨年から今年にかけて刊行された『外国人が教えてくれた! 私が感動したニッポンの文化』(全3巻、日本図書センター)は、落語家や尺八奏者、僧侶など日本ならではの職業に魅せられ、研鑽(けんさん)を積む外国人21人の生の声を収録した。

監修を行った東京大大学院のロバート・キャンベル教授は「日本文化と呼ばれるものに打ち込み、それをマスターしようとしている人たちの話に触れることは、今のリアルな、生きた日本文化を知ることにつながる」と語る。日本人とは違う感覚や視点を期待しがちだが「実は共通点も多い」と言う。例えばチェコ人の狂言師は、翻訳した狂言の舞台を見たチェコの人々が大笑いしたエピソードを紹介している。

キャンベル教授は「外国人という切り口は面白く、興味を持ってもらうきっかけになる。ただ、彼らの視点を日本を映す鏡としてではなく、『日本文化を一緒に楽しもう』という呼びかけとしてとらえてほしい」と訴える。
家族とつながり

日本に根付いている風習を紹介する図鑑も好調だ。

3月に刊行された『にっぽんの図鑑』(小学館)は、あいさつやお辞儀などの身近な習慣から、和食や伝統芸能、遊びまで幅広く取り上げた。すしの握り方など体験のためのページも多く設けている。同書を監修した藤森裕治・信州大教授は「親子でともに学び、わからないことがあれば祖父母に聞くのもいい。伝統文化を学ぶことで家族のつながりも生まれる。図鑑を通じて、自身のなかの『日本人らしさ』を感じてもらえれば」と話す。

『日本文化キャラクター図鑑』(既刊4巻、玉川大学出版部)では「伝統アート」「日本語」など1冊ごとにテーマを分け、それぞれについて40項目を擬人化(キャラクター化)して解説。例えば「生け花」では、花瓶に花を生けた様子を女性に見立て、彼女の“自己紹介”によってその歴史や華道が分かる仕組みだ。

担当編集の森貴志さんは「日本独特の思想や精神は目に見えないが、キャラクターにすることで理解しやすくなるのでは」。

 

他者を理解する

こうした児童書の刊行が相次ぐ背景には、平成18年の教育基本法改正を受け、現行の学習指導要領に「伝統や文化に関する教育の充実」が盛り込まれたことが大きい。藤森教授は「海外で異なる文化的背景を持つ人と接するとき、祖国に関する知識と誇りがなければ相手にされない。伝統文化に触れることは『日本とは何か』『自分は何者か』と考えるきっかけであり、それがあってこそ他者を理解しようとする姿勢が生まれる」と説明する。

一方、『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)などの著書がある和文化研究家、三浦康子さんは「東日本大震災をへて地域や家族の絆が見直されたことや、東京五輪を控え日本文化を見直す機運が高まった」と分析。「『おかげさまで』という言葉が象徴するように、日本文化の基点は感謝と愛情。親子で伝統文化に触れることは『愛されて育った』という実感を生み、生きていく上での力になる」と指摘している。
http://www.sankei.com/life/news/150429/lif1504290021-n1.html
参照元記事 / 産経ニュース

 

日本文化を紹介する児童書。写真やイラストを多用し、子供が親しみやすい工夫が凝らされている / 産経ニュース

日本文化を紹介する児童書。写真やイラストを多用し、子供が親しみやすい工夫が凝らされている / 産経ニュース

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