Exhibition

春の江戸絵画まつり 江戸絵画の19世紀 開催中 / 府中市美術館

近年よく使われる、「ものづくり」という言葉があります。 機械がものを作る現代にあって、人が手ずから一つの品物を作ることには、特別な意味が生まれます。そこに込められた工夫や試行錯誤、作り上げられたものの尊さに思いを寄せることのできる言葉かもしれません。

ものを作るという側面からみると、江戸後期、19世紀は、手仕事としての技術と創意工夫が極限に達した時代と評されています。鎖国下にあって、古くからの伝統と限られた外国からの情報をもとに、自ら考え、独創的で驚くべき高度な技を切り開いたのです。望遠鏡や精巧なからくり人形、また、からくり儀右衛門ぎえもんこと田中久重ひさしげの驚異的で創造性あふれる機器が生まれたのが、この時代でした。

一枚の絵を描くことも、一種の「ものづくり」でしょう。紙や絹の上に絵の具を膠にかわや水で定着、浸透させて、ものの形を表したり、版画ならば、画家のイメージを形にするために、複数の異なる色の版を設計し、重ねて刷っていきます。そうして、見た者の心を動かすための「もの」が作り上げられるのです。

そんな目で19世紀の江戸絵画を眺めると、作品は俄然、きらきらとした輝きを放ってきます。古代から蓄積されてきたあらゆる技巧を駆使して、画面の隅々まで念入りに作り込まれた絵の数々、また、浮世絵木版画の精密さ、こだわりにも、凄まじいものがあります。ただ勢いや偶然の妙に任せるのではない、綿密で研ぎ澄まされた構図は、見ごたえ充分です。あるいは、北斎ほくさいや広重ひろしげの風景画がそうであるように、西洋の遠近法や陰影法、油絵や銅版画といった舶来技術は、本来の使い方から離れ、とてつもなく独創的に展開しています。技を操り、見たことのない絵画世界を作り出すこの時代の作り手たちの営みは、まさに「美のものづくり」です。

詳細はこちら
http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/edokaiga19.html
参照元記事 / 府中市美術館

狩野芳崖 れい姫像 下関市立美術館蔵 前期展示 / 府中市美術館

狩野芳崖 れい姫像 下関市立美術館蔵 前期展示 / 府中市美術館

 

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